ニューエイジの花束

「新しいショッピングモール行ってみた?」
「え?行かないよ。だってどこも似たり寄ったりでしょ?」
「それがね、今度できたところ一味違うのよ。」
「何が?」
「プロムナードのところどころに噴水があってね。」
「そのぐらい珍しくないな。」
「続きがあるのよ。その水のなかに花束が置いてあるの。」
「ふーん、まあちょっとかわった趣向かな。」
「それでね、ところどころ水の色が深い藍色になってて、底が見えないくらい深いところにつながっているの。」
「その下の方は下の階から見えるってしかけかい?」
「下からは見えないんだけどね。その深いところにも花が沈んでいるんだけど、そのなかによく見ると靴があるのよ。」
「靴?商品のディスプレー?」
「いいえ、人の足がついているの。さかさまになって、深い水の中に頭から飛び込んだみたいにね。その靴のついた足が花といっしょにゆらゆらゆれているわけ。」
「まさか本物じゃないよな?」