くじびき

米国のショートストーリーアンソロジーに入っていたけど小さな町で全住民の参加するくじ引きが描かれているものがある。娯楽の少ない街ではよくビンゴなどが行われるがその感じだ。町の人たちが集まってくじ引きの結果を今か今かと待っている。だが読み進めていくとなんとなく当たりを恐れている感じが伝わってきてあれ?という感じがしてくる。最後の落ちは当たりの人は町中公認でいじめていいというもの。群衆の心理のグロさを暴いていて啓蒙主義的な表面の理論のみが表通りを歩いている米国社会の真実をついた印象がある。日本でもちょっとしたルール違反をとらえて厳しくとがめだてする人がいるが、自分が絶対的な正義の側に立って「悪」を懲らしめるくらいカタルシスを得られるものはないだろう。ネット上で「キター」とか「祭り」と称する事例が待たれているのもそのためだろう。