コンピューターに自然言語は発生したか

言葉はなぜ生まれたのか

言葉はなぜ生まれたのか

ヒトの言語の特徴として1初めて聞いた音をまねることができる、2文法がある、3意味を伝えることができる、4社会性を反映する、という特徴がある。動物で聞いた音をまねることができるのは鳥類の半分、クジラ類、ヒトだけだという。鳥とクジラでは飛行や潜水の必要性から呼吸を意識的にコントロールできることが音をまねる能力の基礎になっている。人間に呼吸をコントロールする能力があるのは赤ちゃんが鳴き声で母親をコントロールする必要から生じたのではないかという仮説を提示する。意味を伝えることのできる鳴き声はげっ歯類のデグー、テナガザル、ハダカデバネズミにもあるが新しい音をまねる能力がない。ジュウシマツには聞いた音からチャンクを切り分けて再構成する能力があり、オスのひなは周りの大人のオスのさえずりを聞いて自分なりのオリジナルなさえずりを構成する。ヒトの言語でももともとは歌詞のない歌のようなものが出発点で、その中から共通性のある音の塊(チャンク)を切り分けることで単語が成立してきたのではないかと考える。ミズンの「歌うネアンデルタール」でも提唱されている。これを実験的に検証するのは難しいのでコンピューターシミュレーションを行うというが本書刊行から5年たってシミュレーションはどうなったのだろう?