真実の愛ってどこ?

「いいかい?今回の大寒波事件ではいち早く城の物資を放出して最低限の市民の安全を確保した。危機対策で国民の信頼をつかんだんだよ。あとはこの気象異常がお姉さんの魔力の暴走ということにすればお姉さんに無理なく政権移譲してもらえるっていう段取りだよ。」
「でもそれのどこが真実の愛なの?」
「君は国に対する愛がないのかい?お姉さんが国のかじ取りという重責につぶされそうなほどストレスを感じているのがわからないのかい?」
「でもなんだか権力の簒奪っていうにおいがするわ。」
「誰でも向き不向きっていうことがあるだろ?お姉さんの性格を見てみなよ。どう見ても芸術家タイプで政治家とか国王っていうタイプじゃないよ。お姉さんに本当の才能を発揮してもらうのなら財政だの防衛だの福祉だのややこしいことは他に任せて国立バレエ団の団長でもやってもらうのが最適だよ。」
「あなたのいうことも一理あるけど…でも結局あなたがお国で継承順位12位ってことから来た発想っていう気がしない?」
「いいかいよーく目を開いて真実を見るんだ。国民がそれぞれ自分の持つ能力を開花させて活力のある国をつくるためには保守派の貴族がかつぐお姉さんが適任か、それともしがらみのない妹が適任かをね。」
「わたし…今まで国とか国民を愛するなんて考えてみたこともなかったわ。」
「真実の愛は君自身の中に隠されているんだ。それに気づくことが凍りついた君の心を開放するんだ。」