死の歴史

死と歴史―西欧中世から現代へ

死と歴史―西欧中世から現代へ

死と死体についての観念が歴史的にどう変化してきたのかを語る本。かつて教会の内陣で聖人たちになるべく近く葬られたいと願っていた中世の感覚が腐敗した死体が疫病のもとだという感覚へ変わっていくところなど。かつては死の近づくのを自覚し自らの終末を主宰する立場にあった病人が専門職に管理される立場に変化していく過程。死が身近なものではなくなりセックスと並ぶ、いやそれ以上の禁忌に転換していく過程など。現在当たり前と思っている死と死者についての感覚は意外に最近の歴史的な所産にすぎないのだ。