手のひらの街

手のひらに街ができて医者に行った。
「いつから出来ましたか?」
「初めは村くらいで食事時に小さな煙が上がっているくらいだったんですが、だんだん大きくなって最近では鉄道も出来ています。」
「どれどれ?うーんこれ虫めがねで良くみると地下鉄の駅もできてますよ。かなり深そうですね。取るとなるとちょっとした手術になりますよ。」
「いやあとくに痛くはないのでなるべくならそっとしておいてやりたいんですが、害はないでしょうね?」
「そうですね。まあシェールガスとか採掘始めないかぎりはね。ところでご不便はないんですか?」
「とくに力仕事はしていないのでいまのところなんとかなってます。ただ…」
「ただ、何です?」
「握手を求められるとちょっと。幸い日本ではあまり握手をしないので助かってますが。」
「はは、そうですか。あなたのは手のひらでよかった。わたしなんかお尻ですからね。」
「椅子に座れないとか?」