カタリベ

南北朝時代倭寇の話。明に対抗する九姓漁戸の御曹司が倭寇にとらわれ明の人買いに売られる。人格を失った兵士「鬼」の餌にされそうなところを別の倭寇のマエカワに救われカタリベと名付けられる。仲間を助けようとした自分の行動がいつも逆に仲間を不幸にしてしまうと嘆くカタリベに海神バハン(八幡様)は半年生き続けるごとに仲間を一人生き返らせてやろうと約束する。一方「鬼」の人格を回復させ独立の島を維持する胡蝶のもとへ倭寇、明の人買い、九姓漁戸の残党が集まり高麗を攻撃しようとする。マエカワは迷いながらこれに加わることになる。(高麗攻撃の理由は詳しくは描写されない。)出陣を前に高麗が強力な女直軍を仲間につけたことが明かされる。というところで、壮大になりそうな話が突然「完」となる。もともと実験的な作品だったのか、微妙な内容で連載に向かなかったのかは不明。かつて「光る風」(山上たつひこ)も2巻で突然「完」になっているようなものか。