介護にからむお金の話

認知症となってしまった両親の介護談「親の2000万円はなぜ消えたか」から引用

「まず、両親が元気なうちに、公証役場で任意後見契約を結んでおくんです」
任意後見制度は、判断能力の不十分な人に代わって財産などを動かせる成年後見制度の一つである。
「後見人の権利を行使すると、弁護士費用などが月3万円以上かかるが、行使せずとも、判断能力がある時期に子供に財産管理を委託したという強力な証拠になります。この契約書を見せるだけで、様々なことができる。成年後見制度には、ほかに法定後見制度がありますが、裁判所はカタコトでも喋れれば『判断能力アリ』にするし、もし通っても弁護士や司法書士に月3万円程度の報酬が発生する。そんな支払いは無理でしょう」
次に、親と同じ金融機関支店の取引口座を持ち、普段から代理人契約のことを話し合っておくことだという。
「いざとなったら躊躇せずに代理人契約を結び、親の口座を凍結し、自分たちで銀行口座を管理できるようにしておく」
最後に、「親が60歳を過ぎたら掛かりつけの医師をつくり、半年に一回必ず受診させ、自分も医師との人間関係を密にする」。そうすれば、親が外出できなくなっても、医師は本人不在のまま介護認定の診断書を書いてくれる
主治医については、多くの人は大病院の医師に頼みたがるが、肩書や名前で選ぶのは危険だという。
「彼らは忙しいうえに介護のことをよく知らないから何もしてくれません。専門を問わず、在宅医療をやっている医師と、そこに絡むケアマネを選ぶといい。きちんとしたホームページをつくっているか否かが一定の目安になると思います」

そうはいっても医療者は医療のことしかわからず、法の関係者は適法かどうかしか判断できない。ワンストップですべて解決できるコーディネーターでもいないと結局家族が走り回らざるを得ない。大変な労力である。