暇つぶしのお話29

「イマソカリらの探検隊は第2次第3次の探検を繰り返しました。それに伴って少しずつ移民するものが出てきました。現地で紅貝を採集したり真珠をとったりする人手がいるからです。」
「出稼ぎだね。」
「アリオリの国で土地を失った農民の中にも年季奉公で東の島に出かけるものが増えてきました。」
「新年の休暇には帰れるの?」
「残念だけど海を渡るのが結構命がけだからそう何度も往き来できないよ。だけどそのおかげでいい稼ぎになるからね。数年いれば手放した土地を取り返せるかもって思うと必死で働く人がいても不思議じゃないだろ?」
「家族が揃わない家はちょっと寂しいね。」
「でもね、人が必死で何かをしようとしている時にはなかなか止められないんだよ。留守を預かる奥さんたちは、子供に言い聞かせて無事に帰ってくるのを待ってたんだね。」
「作り話なのになんか健気だね。」