暇つぶしのお話3

「くいしんぼうのアンのほうはどうしたの?」
「イマソカリの国は山ばかりの半島で畑が少ないので貧しい国でした。でも海の幸には恵まれていておいしいものには事欠きませんでした。」
「悪くないね。」
「こんなおいしいものは姉さんたちにも食べさせてあげよう、と考えたアンは魚や貝、海藻を干して日持ちがするように加工しました。」
「お姫様がそんなことするの?」
「もうお姫様じゃなくて家庭の主婦でしょ?」
「私なら無理。」
「もちろん自分で魚を干すわけじゃありません。国の人に命じてやらせるわけです。」
「それならわかる。」
「海のものをあまり食べなかったアリオリやハベリの国の人もこれで海のものがおいしいことを学びました。それでイマソカリの国はだんだん儲かるようになりました。」
「よかったじゃない?」
「アンは国の人に肉も食べさせたくなりましたが山ばかりの国ではシカしかいません。豚や牛の肉はアリオリの国から買うことにしました。魚のお金で買えるようになったのです。」
「こういうのを”比較優位”っていうんだよね?」
「ところがイマソカリの国で高級牛肉を作っていた人たちは困りました。”こんなことではこの国の質のいい肉は作れなくなる”と訴えました。」