選択の科学

選択の科学

選択の科学

著者はインドのシーク教徒の移民。遺伝性の網膜変性症で(祖父がいとこどうし)少女期に失明、さらに13歳で父が急死。目が見えなくてどうやって勉強したのか不明だが心理学を学んでコロンビア大学経営学の教授になっている。人は自分が選択したと感じた方がやる気が出るが、これは文化的なバックグラウンドにもよっていてアジア系では自分の属する集団の選択に従っていると感じた方がパフォーマンスがいい、という。引用されている研究のうち現代ではできそうにない実験がラット溺死実験でビンにいれたラットを溺死するまで泳がし続けるというもの。泳がないで浮いていようとすると上から水をかけるという念の入れよう。何もしないと泳ぐ時間にかなり差があり、60時間頑張り続けるラットもいれば15分であきらめる(遺伝子orzの持ち主?)のもいる。ところが、ビン実験の前にプールで泳がせてから救い上げて休憩させまた水に投げ込むという経験をさせておくと全員が60時間泳ぎ続けるという。「頑張って泳いで助かった」という記憶をもっているとやり続けられるのだそうだ。これをラットの「希望」と呼んでいいのだろうか?しかしこの実験をやった人はかなりPTSDを受けるのじゃないかな。それとも自分は忠実に任務をこなしただけで悪いことをしたわけじゃないと感じたのかしら?そっちの方が興味深い気もするが。