もも

「なんとなくむなしい気持ちになることってないかい?」
「んー?ないな。今日もやるだけのことはやった。飯がうまい。で、いいんじゃないか?」
「君はのんきだね。」
「そういえば田舎から桃が送ってきたぞ。食べてみるか?」
「最近生の果物ってあまり食べてないか。ひとついただくとしよう。」
「どうだい、果肉の味は?」
「うまいけど繊維が歯に引っかかるね。」
「ジュースを飲むより味に深みがあるだろ?」
「そうかもしれない。それが生きている味なのかな。」
「缶いりじゃなくて、おいておけば数日で腐ってしまうようなものを一番いいときにいただくって贅沢だろ?」