後を濁さず

「観光地にいくと後から来る人にもきれいな景色を楽しんでほしいと思うだろ?」
「そうだね。でも残念ながら万人がそうではないらしいよ。」
「私らがいま生きているこの世界も観光地みたいなものなんだよ。この世のほかのどこかから遊びに来たんだ、と思ってみないかい?」
「遊びに来て苦労するのかい?」
「苦労したりするのも自由な意思があればこそさ。機械のようにやるべきことだけやっているのだと意識はいらないだろ?」
「さあ…?君の考えは独特だね。」
「今この世界に遊びに来ているのだとしたら、帰るときは余計なものを残さず立ち去りたいね。思い出だけを残してね。」