そして

「女性は強いな。この期におよんで夫の心配をしてるんだよ。」
「どういうこと?」
「自分が向こうへ行ってしまったら、ごはんとかちゃんと食べていけるかってね。」
「…なんとも言いかねるけど、故郷に帰ると元気が出て生き返るんじゃないかな?」
「そうとも言えないよ。今の季節はどんよりした雪空ばかりだからね。」
「おいしい魚を食べれば復活するんじゃない?」
「かもね。すくなくともイレッサは劇的に効いたよ。胸の半分までたまっていた水もひいたからね。」
「すこしでも長く耐性が出ないでいてほしいね。」
「そう、イレッサ耐性の変異型に効く新薬に期待しているよ。」