いきものの意識

もの思う鳥たち―鳥類の知られざる人間性 (いのちと環境ライブラリー)

もの思う鳥たち―鳥類の知られざる人間性 (いのちと環境ライブラリー)

ペンギンブックスにはいっているものの訳。人間と友情をもった鳥とか、さえずる鳥が二重唱、三重唱、四重唱はては五重唱で歌えるようにさえずりを変えているとか興味深い話が多数。鳥の時間分解能は人間の10倍くらいあり、わずか2秒のさえずりをゆっくり再生すると音符で45-100に上るものが刻まれているという驚きの説。鳥のつがいが会話するようにひそひそ話をし、相手がしゃべっている間は相方は静かに聞いているという。ところが動物行動学の学者の中には人間的な意識はまさに人間にしかない特権的なもので、動物にはないのだというドグマから抜けれない人が多く、科学の世界からはこの本は無視されたのだという。ペンギンブックスに入っているのはあちらでは鳥も合唱も好きな人が多いからかな。中世の歌の中にはまさに鳥のさえずりをまねたものがあるから、アッシジのフランチェスコが人気だった時代には人と動物のあいだのシャープな線引きはなかったのだろうな。しかし動物に人間に近い意識を認めると工場のような環境で育てられる鶏の卵を食べられなくなるかな。