魂のお値段2

「個別教育予算配分計画の予備実験の結果が出ました。」
「どうだった?」
「集計の結果十分な予算をかけられた人の方がトータルでみてパフォーマンスが高いという結果が出ました。」
「総収入のレベルでもか?」
「統計的にはそうです。」
「予算には使途は規定していなくて遊びにつかってもいいんだったよね?」
「そうなんですが、遊びに使ったひとの中からより高度な遊びを開発してビジネスにするのに成功するひとが出ています。」
「ふふふ、予想したとおりだね。」
「次官のおっしゃる『魂=情報仮説』ですね。」
「そう。結局人の意識や志、ひいては魂と呼ばれるようなものも情報にすぎない。これが個人の脳の中に閉じ込められている間は死ねばゼロになってしまうが、何らかの形で情報のエッセンスを外部化させることができれば社会の資産になるからね。」
「それが教育の効果なんですね。」
…20年後
「ほんとうに個別教育予算法案が成立するなんて日本の起死回生の一発でしたね。」
「そのとおり。パチンコなんて馬鹿なものも日本の中のガラパゴスで終われば30兆円のビジネスだが、中国人を酔わせるようなゲームに変えたおかげで我が国の外貨獲得に役立つようになったからね。何がビジネスになるかわからんよ。」
「ほとんど資源を使わないで儲かるんですから『魂』さまさまですね。」